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【連載】大学院入試と研究の基礎

更新日:2020年5月3日





早稲田茶館では、今後「大学院入試と研究の基礎」と題して人文・社会科学分野の大学院入試対策と研究計画書の書き方について連載してまいります。


今回は連載の概要について紹介いたします。


大学院入試を検討している方やこの春から修士課程に入学されたばかりの方のために、早稲田茶館では研究方法に関する情報を発信しています。


ぜひご購読ください。




日本の「文系」大学院の変化と現状

 

従来日本の「文系」大学院は、研究に対して並々ならぬ意欲がある学部生が、就活が不利になるリスクを顧みず進学する場所でした。少なくともそのような傾向があったと思います。




残念ながら日本社会は諸外国と比べて修士学位や博士学位を軽視する傾向があると言われていますし、就職時期が遅くなるデメリットも考慮すればこの傾向は当然といえるかもしれません。








しかし、1990年代以降は特に修士課程進学者の重点化・多様化が進み、会社勤務、定年退職後などの高齢の方、プロスポーツ選手、留学生など、様々な背景をもった人が大学院に来るようになりました



「生涯学習」という概念の普及もこれを後押ししているようです。




これは一握りの研究者志望の学生のためにあるとみなされがちであった大学院が、社会的地位や国境を越えて多くの市民に開かれたということであり、大変喜ばしいことです。




研究の基礎力の不足

 

しかし、同時に現場では問題も発生しています。



多様な背景の人々が大学院に入学してきたため、当然研究に対する基礎知識のレベルも人によって様々です。



ところが、従来の大学院では、「研究の基礎知識は学生が自分自身で身に着けている」という前提のもとでゼミや講義が開かれていましたし、現在もそれを基礎から教えるという仕組みがなかなか整っていません



もちろん丁寧に基礎から教えている先生もいらっしゃいますが、多様かつ大規模化したゼミにおいて手取り足取り指導するのは限界があるでしょう。




そのため、研究の基礎がないまま研究計画や研究報告をしてしまい、修士論文の執筆に苦労するということがしばしばあります。



また、研究の基礎がないまま入学試験に臨んでしまい、修士課程への進学に失敗してしまうという例も数多くあります。



研究方法に関する情報発信

 

このような状態を踏まえると、入試対策や修士課程の研究に関するノウハウを発信することは、日本の大学院教育を円滑にするための一助になるかと思いますし、一定の意義があるでしょう。


今後は


  1. 研究計画書の書き方

  2. 論述の書き方

  3. 論文の書き方


の3点に焦点を当てて解説をしていく予定です。



これから大学院進学を目指す方や修士課程に入学した方などはぜひこれからの連載を活用してください。




大学院入試の特徴

 


大学院入試の形態

 

大学院入試の形態も一般的な学部の入試と比べて大きく形態の異なるものになります。

具体的に言えば

  • 研究計画書の提出

  • 論述試験

  • 語学試験(あるいは語学能力証明書の提出)

  • 面接試験

が大学院入試の基本パターンです。

これらの試験を通して、大学院の教員はこの学生に十分な研究能力があるかを判断するのです。


受験生は各大学のホームページなどで公開されている入試要項をよく読み、それぞれの受験項目の対策を立てなければいけません。


具体的な内容については今後掲載予定です。


専門性

 

大学の学部入試と大学院の入試の大きな違いは「専門性」です。



学部の入試では、基本的には幅広い「知識」を持っているかが試されますが、比較的狭くかつ深い知識を持つ必要があります。


入試は研究科単位でおこなわれることが一般的で、そのなかでも多くの専攻に分かれています。受験者が所属を希望する専攻や指導教員ごとに異なった試験問題が課されることも珍しくなく、広く浅い知識だけでは、論述問題などに対応することはできないでしょう。


しかし、大学院入試の特徴はそれだけではありません。




論述能力と研究方法の基礎

 

大学院入試では研究者にとって必要不可欠な「論を立てる」能力が試されます。



研究というものは、ただ自分の知識量をひけらかすものではありません。



研究においては、既存の研究や知識を前提としたうえで、新たな問題を発見し、資料を用いて論理的に解決策や新たな知を提示することが必要です。



つまり、研究者の資質として問題発見能力、論理的思考、問題解決力などが問われます。




しかしながら、多くの学部生がこの具体的な方法論を学ばずに卒業しているのが現状です。



それゆえ、大学院受験生はある程度「作法」に則った論述方法や研究計画書の構成についてあらためて学ぶ必要があります。





前述の通り、日本の大学院では日本の大学で学んだ学生だけでなく海外から来た新規の留学生も多く、学部においてどの程度研究の基礎を学んできたかも出身国や地域によって様々です。



これらの状況をふまえると「まだ研究の基礎がわからない!」という学生は、日本内外多いかと思いますし、大学院のゼミでもそのことを実感しています。




このような学生の研究スタートアップの一助になればと思い、簡単ながら筆をとりました。


これからは人文・社会科学分野の大学院修士課程を目指す学生のための研究計画書執筆方法の基礎とコツについて連載していきたいと思います。





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